~ブロッコリー~
「!」
「?」
「・・・・っ」
「・・・・西武池袋?」
「・・・・貴様、ソレ・・」
「あ?それってこのブロッコリーか?」
「・・・・っ、そうだ・・・」
「これさ~、駅員の結婚式に出席したら貰ったんだよ」
「・・・結婚・・式?」
「新婦はブーケを投げるだろ?
で、新郎はブロッコリーを投げるのが流行りなんだってさ!」
「・・・で、貴様はそのブロッコリーを受け取ったのか?」
「受け取ったっていうか、偶然俺の所に落ちてきたっていうか」
「・・・・」
「ブーケと同じ位の大きさのブロッコリーだからさ、なかなか消化しきれなくて。
越生もブロッコリーはあんまり好きじゃねーしな。
『そんなもん喰うくらいならキャベツ丸ごと喰った方がましだ!』って。
まぁ、たしかにブロッコリーはキャベツの・・・、って、おい?」
「・・・・っ」
「なんだ、お前。なんだか変な顔してるぞ?」
「・・・いや、なんでもない。
ただ東武がブロッコリーのブーケに、丸ごとかぶりついているから眩暈が・・・」
「なんで?あ、ちゃんとお湯は通ってるぞ?」
「そういう問題ではない・・・、
ブロッコリーはシチューに少し浮いているだけで十分だ」
「・・・・は?」
「カリフラワーも、もってのほかだ。」
「カリフラワー?
って、西武池袋・・・お前もまさか嫌いなのか?」
「嫌いではない!食べられる!!
が、・・・ブロッコリーは人の頭のように見えて嫌なのだ」
「はぁ?」
「アフロヘアーに見えるだろ?」
「・・・アフロ???」
「それにたまに油虫がいる!
私はそれが髪の毛にたまる虱に見えるのだ!!」
「・・・お前、ブロッコリー農家に失礼だぞ」
「失礼でも何でも嫌なものは嫌なのだ!!
いつぞや食べた時は油虫が私の口に・・・、むぐ???」
「・・・・・」
「んぅ・・・、むぅ・・・、・・・・・」
「・・・・油虫、いねーだろ」
「・・・・口に入ってしまってはわからん」
「まぁ、そうだよな。で、味はどうだったよ?」
「・・・味は・・・、その・・・不味くはない」
「美味いだろ?」
「・・・・・」
「西武池袋?」
「・・・・っ、きききききき・・・!!」
「き?」
「貴様はずるい!!」
「は?なんで?」
「き、貴様が口移しで食べさせてるから味なんぞ分かるわけがない!!」
「!」
「よってもう一度、食べさせてくれることお要求する!」
「へ?」
「・・・無論、口移しでだ!
貴様が食べさせてくれるならブロッコリーも悪くない」
「・・・・・・ぷっ」
「何を笑っている!?」
「・・・いや?お前も大概子供だよなぁ・・・」
「・・・私は一応、貴様より年下なのでな」
「1つだけだろ~?
ま、いいけどさ・・・・、ほら」
「・・・・・っ」
「・・・なぁ、西武?」
「な、なんだ、東武」
「口移しとはいえさ、キスなんだから目は閉じろよな」
「・・・・っう」
「・・・・、子供っぽいお前ってなんだか懐かしいかも」
「・・・『武蔵野』は子供だったか?」
「・・・・震えてるイメージが多いからな」
「・・・・反論出来ん」

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