~今は昔~
台風が近づいてくるとJRの各線が軒並み運休するのは最早お家芸だが、
西武池袋はとある路線からの遅延メールを見た瞬間に驚き、
忙しいというのに東武東上線改札口まで急ぐのだった。
「おい!東武!」
「なんだよ!?俺は今忙しいんだ!」
「はっ!忙しいのはこちらとて同じだわ!
台風のせいで乗客対応におおわらわだからな!
が、しかし東武よ!これはどういうことだ!?」
「あ!?」
「・・・・貴様ら東武は天災には強いというのがウリではなかったのか??」
「それがどうした!?」
「それがどうした、だと??
それは私の台詞だ!
貴様・・・、その唯一のとりえすらもなくなったのか??」
「はぁ?」
「・・・今しがた私のところに貴様の路線の遅延情報がきたのだ!」
「・・・・遅延情報??
俺、まだ振り替え依頼は出してないけど?何で知ってんだ??」
「YA●HO!の路線の遅延情報だ!
登録しておけば遅延し時にメールがくる寸法だ」
「・・・・へー?そりゃ便利だな。
で、お前は俺のとこも登録してるってことか?」
「その通りだ!」
「なんで?」
「ふっふっふっ!決まっているではないか!
東武のことは全て知っておかねば吸収できるものも出来なくなってしまう」
「・・・吸収??
天災に強い秘密をってことか?」
「違うわ!貴様が!いつ西武東上線になっても良いように全て知っておかねば、
吸収するのがどんどん遅くなってしまうだろう?
そうなれば貴様も寂しかろうと・・・・・」
「だーーーー!!俺は別に寂しくねーし!
それにだ!俺は西武になる気はねぇっ!ってなんども言ってんだろーが!」
「照れずとも良いのだぞ?」
「照れてねーよ!」
「・・・相変らずの天邪鬼ぶりだな。」
「俺は天邪鬼なんかじゃねーよ!」
「フン。まぁ、いい・・・・、で、貴様はどうじて遅延しているのだ?」
「聞けよ!人の話し!!」
「聞いているではないか・・・、
今だってどうして貴様が遅れているのか聞いてやっているだろう?」
「・・・どうしてお前はそぉ・・・話が通じねーんだよ・・・、
まぁ、もう慣れてるけど・・・で、理由だけど台風だからに決まってんだろ?」
「・・・・だが貴様がそれしきのことで遅れるのは珍しいだろう?」
「・・・うっ・・・、まぁ、そうなんだけど・・・、
ATC工事が始まってからどうも弱くなっちまってんだよなぁ・・・」
「ふむ?」
「車両もどんどん更新してるしなぁ・・・、
昔の8000系とかに比べたらひ弱になっちまったかな?」
「・・・油くささを取り除いた代償がひ弱さでは笑えんな」
「うるせーよ!!それに俺は油くさくなんかねー!!」
「・・・今は、な。
・・・・私はそれが少し残念だ」
「は?」
「・・・貴様の匂い、私は結構好きだったからな」
「・・・!!」
「だから貴様から油の匂いがしないと少しだけ物悲しい」
「・・・ば・・・っかじゃねーの!!」
「だが本当のことだ」
「・・・・っ!!・・・・っ、そ、・・・」
「そ?」
「そんなに油の匂いが好きなら寄居まで来ればいいだろ!」
「・・・寄居?」
「小川町~寄居間はまだまだ8000系だからな!
てめぇの大好きな香りがするはずだぜ!」
「・・・成る程な。
それに秩父鉄道に私たちの中を教えるのにもうってつけだな」
「!!!ばっっか!なんで秩鉄におしえんだよ!」
「そうしなければ貴様はいつまでもあの男を優先しそうだからだ」
「・・・・!!」
「ふむ。いい機会だ。明日にでも行くとしよう」
「やっぱ来んな!!」
「ふふふ!もう遅い!西武秩父に乗って貴様を迎えに行く!
これで貴様もはれて西武東上線だ!!」
「話の趣旨が変わってんじゃねーか!!」
「変わっておらんわ!!娘の父親に挨拶に行くのだ!!
そうしたら当然の結果ではないか!!」
「秩鉄は俺の親父じゃねーし!俺は女でもねーよ!!」
「フフフフフ・・・、明日が楽しみだ。
さて、私は仕事に戻るとしよう」
「あ!待てってば!!西武ーー!!!」
<あとがき>
そのうち続きをHPで書ければいいな・・・・。

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