「・・・なんだか先輩、ご機嫌ですね」
「そうか?」
「なにか良い事でもありました?」
「良いことって言うか・・・、まぁ嬉しいことはあったかな?」
「嬉しいこと?」
「やぁ・・・、東上は東上でちゃんと考えてくれてたんだなって、さ」
「東上さんですか?」
「うん」
「・・・・東上さん、最近僕の前ではずっと不機嫌なんですよ」
「へぇ・・・?俺の前じゃ普通だけどな」
「まぁ、年末あたりから大分怪しかったんですけど、
決定的に不機嫌になったのは7月位からです。
そういえば先輩は4月あたりからずっと嬉しそうで、
7月からはすっごくご機嫌ですよね~」
「え?そ、そうかな?」
「そ・う・で・す!」
「・・・・・・」
「僕は理由も分かってます!」
「へ?」
「和光市のホームドア」
「!」
「・・・ですよね?」
「・・・・お前、分かってたんだ?」
「当たり前ですよ!
だって僕、ずっと不思議でしたから」
「不思議って?」
「だって今まではホームの案内標識も柱も僕の色のブラウン使ってたんですよ?」
「ちょっと待て!案内標識には俺の色も使われてるぞ!
・・・・お前の色より幅は小さいけど・・・・」
「でもメトロ側の柱はブラウンだけですよね?」
「・・・・だな。
ま、まぁ・・・もともとはお前が東上と繋がる予定だったから不思議じゃないだろ?」
「・・・・その法則でいくとどうしてホームドアは先輩のカラーなんです?」
「そ、それは・・・、!あ!あれだよ!」
「どれです?」
「本体は和光市~小竹向原間はお前の路線のはずだったけど、
いろいろあって俺の路線、ってことになってるだろ?
だからホームドアは有楽町カラーなんだよ!」
「その法則だと柱も案内標識も有楽町カラーでないと変じゃないですか?」
「う・・・っ」
「僕はわかってます・・・・」
「へ?・・・・な、なにを?」
「東上さん、人見知りだから新しい路線とかかわるのが嫌なんですよ」
「・・・・・??」
「僕が今年、2012年に東急さんと直通するのが気に入らないんです!
だからずっと不機嫌なんですよ!」
「そんな子供じゃないんだから・・・」
「・・・先輩、7月の東武さんのマンスリーはもう読みましたか?」
「え?マンスリー東武のことか?」
「そうです」
「うん、読んだけど?他社のだけどやっぱ直通してるしな」
「・・・・それ読んで気づきませんでした?」
「なにが?」
「これまではいろいろうやむやにしていたけど、
もうハッキリと書いてありましたでしょう?」
「ハッキリって?」
「・・・・東上線においては副都心線を通してみなとみらいまで・・」
「!・・・あ・・・」
「まぁ、去年の東上さんの時刻表の表紙からしてほぼ決定は間違いなかったんですけど、
東上さん、あれ読んでからすっごく不機嫌なんですよ」
「・・・はははは」
「きっともう年度末には言われてたんでしょうね~。
だから僕に抗議の意味も含めて和光市のホームドアをゴールドにしたんですよ!」
「そんなバカな・・・」
「じゃあ先輩は絶対に違うと言えますか!?」
「・・・・言えません」
「絶対にそうです!僕の考えは正しいはずです!!
それなのに先輩は嬉しそうに・・・、僕は悲しいです!!シクシク・・」
「シクシクって・・・お前ねぇ・・・、あ、東上」
「・・・よぉ」
「東上さん!」
「・・・なんだよ?」
「僕はズバリ!!貴方に聞きたいです!!」
「あ?」
「お、おい・・・副都心?穏便にな?」
「僕はいつだって穏便です!」
「(どこがだ、このKY!)」
「どうして和光市のホームドアの色はゴールドなんですか?!」
「・・・・なんだよ、突然」
「突然じゃありません!案内標識も柱もブラウンを使っていたのに・・」
「待て!副都心!!案内標識には俺の色も使ってあるってさっきも・・」
「先輩は黙っててください!」
「・・・は、はい・・」
「なのにどうしてホームドアはゴールドなんです??
おかしいですよ!」
「・・・おかしいって言われてもな・・・ん?でもさ・・・」
「なんです?」
「あれって・・お前らメトロが決めたんじゃねーの?」
「え?」
「・・・そうなの??」
「確かに和光市は東武の管轄だけど、
さすがにホームドアの色までは口出しできねーと思うぞ?」
「確かにそうかも・・・」
「・・・・!!先輩!まさか東武さんの誰かを買収したんですか?」
「なんでそうなる?」
「だっておかしいです!!」
「・・・・お前、実はブラウンじゃなくて悔しかったのか?」
「!!・・・そ・・んなことは・・・」
「・・・副都心もまだまだガキだな・・、いいじゃねーか、他はお前の色使ってんだし」
「そうだよ」
「・・・むむっ。じゃ、じゃあ東上さん!もう一つ質問です!」
「・・・まだあんのかよ?」
「あります!!どうして最近、僕と会うと不機嫌なんですか?」
「不機嫌?俺が?」
「・・・俺と会うときはそんなに不機嫌じゃないだろ?」
「・・・そうだったか?あ!」
「なんです?」
「・・・・お前、タイミングが悪いんだよ」
「タイミングですか?」
「最近の俺って人身が多いだろ?」
「・・・・確かにやたら連続で起きてるよな?
(でも和光市~川越市間はいつも動けるから不思議だ)」
「副都心はなぜかいつも人身が会った時に俺と会うっていうか・・、だからじゃね?」
「だからって・・・、
落ち着いた頃を見計らって書類を届けに行ってるだけじゃないですか?・・・あ」
「どうしたんだ?お前、その時東上に何かしてたのか?」
「いえ・・・、でも持っていく書類はいつも東急さんとの・・・」
「あ!そういうことか・・・」
「ただでさえ人身でイライラしてんのに、東急との書類を持ってくるから俺もつい・・」
「・・・東上さん」
「なんだ?」
「本当にホームドアの色には口を挟んでないんですよね?」
「・・・、・・・・、・・・ああ」
「東上?(何か間があったような)」
「なんか怪しいですね~」
「怪しくねーよ!!俺は本当に口は出してない!
(メトロの社員に意見聞かれたことはあったけど、黙っておこう)」
「・・・怪しい」
「・・・・・っ」
<あとがき>
和光市のホームドアを見て思いつきました 。

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