~年賀状~
「せんぱ~い!!」
「ああ、副都心。今年もお疲れ」
「お疲れ様です!1年ってあっという間ですね~」
「だな。」
「今年も色々ありましたけど、来年は東急さんとの直通も始まるし、
今年以上に目まぐるしくなりそうです、僕」
「・・・そういえばそうだったな・・、準備は出来てるのか?」
「・・・ダイヤ通りの練習はまだしてません」
「・・・お前ねぇ・・・」
「ま、ですが!なんとかなりましょーや!
僕が開業した時もなんとかなったでしょう?」
「・・・俺があちこちに頭を下げてまわっていた苦労をお前が知らないとは言わせないぞ?」
「嫌だなぁ、覚えてますってば!僕はそこまで薄情じゃありませんよ☆
その節は大変お世話になりました~」
「・・・・心がこもってないぞ、お前」
「それは先輩の被害妄想です!」
「はぁ・・・、とにかく!俺にまで飛び火はさせてくれるなよ?
西武や東武は尚のこと!」
「・・・善処します」
「ほんとーに!頼むぞ!」
「はーい☆・・・って、あれ?」
「(信用できない)ん?なに?」
「先輩、その手に持っているカードみたいなのはなんですか?」
「え?・・・ああ、これか?」
「ええ」
「年賀状」
「は?」
「さっき東上に会ってさ・・・、渡された」
「・・・渡されたって・・・、まだ今年は終わってないですよ?」
「知ってる。今年はまだ後、・・・30分くらいあるな」
「なのにもう渡されたんですか?」
「まぁな。今年はいろいろ忙しくて年賀状を書くのが送れたんだってさ。
で、俺たちみたいに直ぐ会える連中は手渡しみたい・・・、
はい、これはお前の分」
「・・・・アリガトウゴザイマス。
でもあんまりありがたくはないですね」
「・・・気持ちの持ちようだ」
「先輩、ポジティブですね~」
「そうじゃないとやってらんないだろ?
はぁ・・・・、西武にも届けなきゃ」
「って、西武さんのも預かってるんですか?
その前に東上さんと西武池袋さんて年賀状のやり取りがあるんですか!?」
「・・・・あるみたい。俺も驚いた」
「・・・ちなみになんて書いてあるんですか?」
「人のを勝手に見ちゃダメだろう?」
「お使いを頼まれたんだし、お駄賃代わりにちょっとくらいはOKですよ!」
「お前ねぇ・・・」
「それに先輩だって気になるでしょう?」
「・・・まぁ・・・」
「じゃ、ちょっとだけ」
「・・・・(ま、いっか)そうだな・・・、どれどれ・・・」
「・・・・・」
「・・・・・」
「・・・・意外に普通の文ですね」
「普通だな」
「『あけましておめでとうございます。本年も宜しくお願いいたします』」
「・・・・普通すぎだな」
「・・・・でも敬語が妙によそよそしさを誘ってますけどね」
「・・・だな」
「ちなみに先輩のはなんて書いてあるんです?」
「うん?俺のは・・・、『あけましておめでとう。今年も宜しく。
今年は自分の遅延を俺のせいにするなよ』」
「・・・・まだ
根に持ってたんですね、実は」
「・・・・みたいだな」
「先輩?」
「え?」
「なんで赤くなってるんです??」
「い、いや・・別に??あ、あはははは」
「????」
「(ヤバイ、思い出しちゃった!)ふ、副都心!」
「?」
「お前のは?なんて書いてあるんだ?」
「僕のは・・・、『あけましておめでとう。今年も宜しく。
東急と直通しても遅延はするなよ』・・・ですね」
「・・・・やっぱりまだ根に持ってるんだな」
「ですね・・・、まぁ、あの時は根にもたれても仕方ないのでしょうけど」
「(確かに)」
「それにしても・・・、僕、以前から思ってたんですが」
「うん?」
「今回の年賀状で更に思いが深まったというか」
「うん?」
「・・・東上さんて」
「・・・・?」
「達筆ですよねぇ・・・」
「達筆?」
「もちろん、いい意味で、ですよ!
なんというか・・・書道の先生みたいですよね。
あの普段のガサツさからは想像できないというか・・・・」
「!・・・・確かに・・・・。東上って字が上手いかも」
「そういえば西武池袋さんもお上手ですよねー」
「・・・・うん。西武池袋も上手いな」
「先輩は・・・まぁ、可もなく不可もなく、ですよね~」
「余計なお世話ですよ!!お前の字だって人のことは言えないだろ!」
「・・・僕は現代っ子ですから☆
PC世代は字がきたいんですよ!書かないから」
「自慢にならないから、それ」
「そーですか~?」
「PC時代になっても字を書く機会は多いわけだし、
字は綺麗にこしたことはないだろ?」
「・・・まぁ、一理ありますね」
「だろ?だったらお前も努力をだな・・・」
「それにしてもどうして東上さんも西武池袋さんもお上手なんですかねー?」
「(話しを逸らしたな)・・・・それは」
「やはり昔の人は字が上手くないとダメだったんですかね?」
「・・・そうだな、昔の人は字が上手いもんな・・・って、コラ!!」
「なんです??急に打たないでくださいよ~。痛いじゃないですかぁ」
「お前、今の言葉を間違っても二人の前で言うなよ?」
「なぜです?」
「ジーサン扱いしたら二人の機嫌が悪くなるだろ!?
ご機嫌取りをする俺の身にもな・れ!」
「・・・今のお言葉からして、先輩が一番ジーサン扱いしてる気がしますけど?」
「うっ」
「はははっ!先輩ってばおちゃめさん☆」
「うぅ・・・っ(来年も波乱万丈の一年になりそうだ)」

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